労働トラブルの現状
平成23年度の労働基準監督署等への労働相談件数は1,109,454件(民事上の個別労働紛争相談件数は22年度対比3.8%増)に上っています。
4年連続で100万件を超えて推移しており、高水準を維持しています。紛争内容は「解雇」「いじめ・嫌がらせ」「労働条件の引き下げ」「その他の労働条件」が上位を占め益々多様化・複雑化しています。ちなみに平成24年の交通事故発生総件数は665,138件で、交通事故の約1.7倍労働トラブルが発生しています。
労働トラブルは決して他人事ではないのです。未然に防止できるよう手を打ちましょう。事前に防止策を講じるのは、車を運転する前に保険をかけるようなものです。実際に事故が起きてからでは遅いのです。
あなたは保険に入らずに、安心して車を運転できますか?
労務トラブルの事例
残業未払い
労働者等が、1日8時間を超える長時間労働していたにもかかわらず、残業代が支払われていないとして訴訟を起こした。
京都地裁は、会社に対し、残業代など約1,500万円の他、付加金として約1,100万円の支払いを命じた。
約1,500万円の他、付加金として約1,100万円の支払い
マイカー通勤途上の交通事故
労働者がマイカーで帰宅途中事故を起こし、相手に5級後遺障害を負わせた。
仙台地裁は、会社に対して運行供用者責任と使用者責任を認め、3,109万円の支払いを命じた。
会社に対して3,109万円の支払いを命じた
パワハラ訴訟
度重なるパワーハラスメントにより離職を余儀なくされたとして、元従業員が未払いの賃金の支払いと慰謝料を求め訴訟を起こした。
元従業員は会社からの、侮辱的な発言・不合理な座席移動命令・過重な勤務を強いる等の行為により、精神的ストレスからうつ病を発症していた。京都地裁は、会社に対し、未払い賃金112万円、慰謝料150万円、休業損害33万円の支払いを命じた。
未払い賃金112万円、慰謝料150万円、休業損害33万円の支払い
不当解雇
A社に勤務していたB氏は、A社からの解雇処分に対し、その解雇効力を争い仮処分を申し立てた。
当時B氏は、業務遂行上問題を起こして上司から注意されたり、顧客からの苦情もあり成績査定は低かった。このことによりA社はB氏に対し、特定業務がない部署への配置転換と退職勧告を行ったが、B氏がこれに応じなかったため、労働能率が劣り、向上の見込みがないとの解雇事由を適用し、B氏を解雇していた。東京地裁は、平均的な水準に達していなかったからと言って直ちに本件解雇が有効となる訳ではないとし、解雇無効を認め、A社に対し、B氏への賃金の仮払いを命じた。
解雇無効を認め、A社に対しB氏への賃金の仮払いを命じた
労務リスクチェック
- 就業規則がない。就業規則はあるが金庫等にしまって周知させていない
- 就業規則はあるが本・知人・インターネットから取得したものである
- 就業規則はあるが何年も改訂していない
- 経営理念がない。経営理念はあるがそれを意識して仕事している者が少ない
- 経営者の思い・考えを代弁・補足説明してくれる従業員がいない
- 採用時の適性・基礎能力診断や、360度診断等の客観的評価を定期的に
- 実施していない
- 従業員の定着率が低い
- 36協定を所轄労働基準監督署に届けていない
- 退職時に退職届・誓約書を取得していない
- 通勤経路を届出させていない
- マイカー(単車を含む)・自転車で通勤している従業員がいる
- 従業員の労働時間を把握できていない
- 労働時間を超過しても残業代を支給していない。または詳細を規定する
- ことなく定額の残業代を支給している
- 採用時に入社誓約書・身元保証書・3か月以内の健康診断書を提出させていない
が「1~3」の場合・・・リスク度数30%
労働相談の増加が止まらない現状では、今一度リスクヘッジについて検討することをお薦めします。
が「4~8」の場合・・・リスク度数70%
労働相談の増加が止まらない現状では、今一度リスクヘッジについて検討することをお薦めします。
が「9~14」の場合・・・リスク度数100%付近
労働相談の増加が止まらない現状では、今一度リスクヘッジについて検討することをお薦めします。